『DDD』という小説を読みました。

DDD 1巻


感染者の精神だけでなく肉体をも変貌させる奇病、A(アゴニスト)異常症患者――俗に言う“悪魔憑き”が蔓延(はびこ)る世界。左腕を失った男、石杖所在(アリカ)と、漆黒の義手義足を纏い、天蓋付きのベッドで微睡(まどろ)む迦遼海江(カイエ)の2人が繰り広げる奇妙な“悪魔祓い”とは――!?


作者は『Fate/Stay night』や『空の境界』などで知られる奈須きのこ。今のところ2巻まで出ています。



巧妙な叙述トリック

この作品最大の特徴は、巧妙に仕掛けられた叙述トリック
叙述トリックとは、読者の先入観や思い込みを利用し、一部の描写をわざと伏せたり曖昧にぼかしたりすることで、作者が読者に対してミスリードを仕掛けるトリックである。
 (ニコニコ大百科より引用)

この辺はあまり語るとネタバレになるので止めておきますが、僕ら読者は大きな勘違いをしたまましばらく読み進めて、最後のほうで「マジか、騙された!」と叫ぶことになります。

途中まで何の違和感もなくストーリーを楽しんでいたのに、最後で完全に誤読していたことに気づいたときは、驚くと同時に思わず笑ってしまいましたね。

聞くところによると、この小説は奈須きのこが読者を騙したくて書いた作品らしいです。その思惑通り、僕もまんまとやられましたよ。きのこのドヤ顔が想像できますな。



こんなふうに書くと、「騙されまい!」と警戒しながら読みたくなるかもしれませんが、まあ一度騙されたと思って騙されてみてください。そして読み終わった後もう一度最初から読み直すと、さらに楽しめるようになっています。一口で二度美味しい小説。




魅力的な登場人物たち

そしてこの見事な叙述トリックのなかにいても際立つ、超個性的な登場人物たち。

精神・肉体に異常をきたした「悪魔憑き」はもちろん、彼らに対処する側の人間たちも同じくらい強烈。それでよくこんな叙述トリックを使えたなぁ、と思います。

ちなみに僕のお気に入りは、表紙に描かれたこの子。
ddd 海江

美しすぎる。こんな目つきで見つめられたら、もうたまんないです。見た目も魅力的ですが、性格的にかなりクセが強く、そこもまた魅力なんです。実際に、

「なんだこの美少女は?!これは買うしかないぜ!!」

てな具合に、「奈須きのこ」ブランド以上に表紙のイラストに釣られてこの小説を購入した人も少なくないらしい。

ただし、これも重大なネタバレになるので止めておきますが、そういう人は叙述トリックに騙される前にこの黒髪美人に騙されます。