センター地理Bで日本のアニメに関する問題が出題され話題になりましたが、特にアニメの舞台はどこかをめぐって、ネット上でずいぶん騒がれました。

実際に出題された問題↓

センター地理問題

タの「ムーミン」とチの「小さなバイキング ビッケ」は、設問によるとフィンランドかノルウェーを舞台にしたアニメ。そしてAとBはフィンランドかノルウェーの言語とのこと。

このうち、フィンランドに関するアニメと言語の組み合わせを答える問題です。




◼️「ビッケ」の舞台はスウェーデンだぞ

実は僕、昔アニメの「ビッケ」をレンタルビデオ店で借りて観たことがあるんですよね。母親が子どもの頃好きだったらしく、勧められて観てみたら面白くて、一時期ハマってました。

それゆえ、最初にこの問題を見たときはテンションが上がったんですが、試しに解こうとしたら、いきなり壁にぶち当たりました。

というのも、「小さなバイキング ビッケ」の舞台はどこの国か?と聞かれたら、それはノルウェーではなく、スウェーデンが適当なのですよ。

アニメ第16話「水攻め大作戦」という話のなかで、ビッケのお父さんが「わがスウェーデンのビルゲル王が亡くなられたらしい」とはっきり言っているので、ビッケたちはスウェーデン人ということになります。

ビッケ第16話スクショ
(「小さなバイキング ビッケ」第16話「水攻め大作戦」より)

おまけに、原作者のルーネル・ヨンソン自身もスウェーデン人。通常、作者の出身地と作品の舞台は関係ないですが、今回はスウェーデン人がバイキングの作品を書いていることが重要だと思います。

後述しますが、「バイキングの本場はうちだ!」と主張している国は複数あり、そのなかにはスウェーデンとノルウェーも含まれているんです。

それを踏まえると、スウェーデン人作家がバイキングを題材とした作品を書くのに、あえて自国のスウェーデンではなく、ノルウェーを舞台に設定するとは考えにくいです。



なお、ビッケたちは海を渡っていろんな国を冒険するので、そもそも舞台をどこか1ヶ国に決められないのでは?という見方もありますが…

それでもあえて選ぶとすれば、上で述べた理由からスウェーデンが妥当だと思います。しかし問題文には「ノルウェーかフィンランド」とあるんですよね。

というわけで、いきなり詰みました。答えを知っているのに、その答えが選択肢にない。僕が受験生だったら試験中に泣いていたと思います。




しかし、これはあくまで地理の問題。気を取り直して、今度は「ムーミン」も「ビッケ」も全く知らない、という設定で解いてみます。


◼️ 言語の判別はサクッといける

まずは簡単な言語の判別のほうからいきます。

一瞬「北欧の言語なんか知らんのだけど?」とパニクりそうになりますが、よく見るとAの言語はスウェーデン語にそっくりです。

ここで、ノルウェーとスウェーデンはインド=ヨーロッパ語族、フィンランドがウラル語族であることを思い出します。これを知っていればAがノルウェー語、Bがフィンランド語だと判断できますね。

これはたしかに地理か世界史の教科書で見た覚えがありますな。この言語の判別に限っては、なかなかの良問だと思います。




◼️アニメの舞台は?

1. 「バイキング→ノルウェー」?

さあ、次はもう一度アニメの舞台の判別です。まず「バイキング」というキーワードが目を惹きますね。

バイキングというのは、だいたい9世紀から11世紀くらいの間、スカンジナビア半島やバルト海沿岸の地域を拠点に活動していた人たち。

海賊として略奪行為をしていたイメージが強いですが、全員がそうというわけではなく、むしろまともな交易や漁業、または陸地で農業をやっていた人たちのほうが多かったそうです。


ツイッターを見ていると、

「バイキング→ノルウェー」で解けるだろ

などとつぶやいている人が多数いました。実際そう考えると(出題者の考える)正解に近づけるわけですが、いやちょっと待てと言いたい。

バイキングはノルウェーだけじゃなくて、スウェーデンやデンマーク、フィンランドでも活動していたんですよ。

んで、この4ヶ国ともそれぞれ「うちがバイキング発祥の国だ」と主張しているんですね。例えばスウェーデンにはバイキング村がありますし…

フィンランドにもロサラ・バイキングセンターというところがあり、バイキングの本場として町おこししています↓

rosala viking village

そんなわけで、「バイキング→ノルウェー」というふうに条件反射的に決めるのはどうかと思うのですよ。



2. 気候区分で解ける?

僕はまったく思いつきませんでしたが、イラストから気候を推測して解く方法をつぶやいている人がいました。



でも、ノルウェーにも冷帯気候で針葉樹が生えている地域は普通にありますし、フィンランドにだって海もあれば当然船も行き来してます。

まあ面積に占める針葉樹林の割合はフィンランドのほうが多そうですし、不凍港のあるノルウェーのほうが船を使うには便利だというのはわかります。

でもそれらをこのアニメのイラストから読み取れっていうのは、ちょっと強引な気がしますね…。





◼️まとめ

この問題を解くには、

「バイキング→ノルウェー」
「針葉樹→冷帯気候→フィンランド」
「船→不凍港→ノルウェー」

というような、センター試験ならではのステレオタイプ的な考え方が必要なようです。いろんな細かい学問的知識は、ここではいったん捨て去れということでしょうか。

特に「ビッケ」に関しては、作品について詳しく知っていると逆に解けないという、ファンからしたらまさに踏み絵としか思えないような仕打ちです。


センター側は「知識・思考力を問う設問として支障はなかった」と言っていますが、「ビッケ」の舞台を、スウェーデンを差し置いてノルウェーだとするのは明らかに不適切ですし、それによって普通に誤解答を生みかねないのですが、本当に支障はないと思っているんですかね?