待ちに待った「少女終末旅行」の最終巻が発売されたので、AmazonのKindle版を秒速でポチりました。


 

◼️「少女終末旅行」とは

「少女終末旅行」は、2014年2月21日~2018年1月12日まで「くらげバンチ」というWEBサイトで連載されていたマンガで、2017年10月にはアニメ化もされました。

 

ストーリーについて簡単に説明すると…

何らかの理由で文明が崩壊してしまって、人類やほかの生物がほとんどいなくなった終末世界が舞台。そんな世界を、二人の少女(チトとユーリ)がひたすら旅を続ける…


という作品です。

僕はくらげバンチで読んでいたので結末はすでに知っていたんですけど、かなりお気に入りの作品なので、原作コミックも全巻揃えているんですね。
 
アニメが昨年末に終了し、とうとう原作コミックも最終巻を迎えたということで、アニメと原作コミックを合わせて語りたいと思います。

 


◼️魅力

今回取り上げたい「少女終末旅行」の魅力は3つです。

 
1.雰囲気、世界観

チトとユーリは、ケッテンクラートという戦車とバイクが融合したような乗り物に乗って、廃墟と化した巨大都市の中を移動しています。

周りには打ち捨てられた武器などが散乱していて、気候的にはすごく寒いらしく、たいてい雪が降っている。そんな中を、食料や自分たち以外の人を探しながら、階層構造になっている都市の最上階に向かっています。


文明が崩壊した背景については、詳しい描写はないんですけど…

おそらく、気候の変化によって大半の生物が滅んでしまって、人類も自分たちの食料を確保できなくなっていった。それで食料をめぐって各地で戦争が勃発するようになり、その結果人類もいなくなってしまった…

というところなんじゃないか?と思います。


そんな滅びゆく世界のものさびしい雰囲気と、そんな状況にありながらも、たわいもない会話を繰り広げる二人の日常系アニメのようなゆるふわ感とが共存している、独特の世界観がたまらんのです。

 


2.文明の意義について考えさせられる

二人は行く先々で、使い方や意味がよくわからない過去の文明の遺物を発見します。

時代設定なんですが、二人が取った写真の日付が「3230.08.06」となっていることから、おそらく現代から1200年以上経過した未来だと思われます。

現代人の僕らが今当たり前に見たり、触れたりしているようなものも、1200年後の終末世界を生きる彼女たちからしたら「なんだこれ?」と思うようなのが多いわけですよ。


特に印象的なのが、原作第2巻でかつて寺院だった施設に入る回。施設の中に巨大な石像が立っていて、それはおそらく神様として祀られていた存在なんですけど、彼女たちは、

 石像はにせものなのに、なんでこんな大きなものまで作って神様を祀るんだろ?

というような疑問を持つんです。宗教って何の意味があるの?ということですね。

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そんな疑問に対して、二人はそれまでの経験から、自分たちなりに結論を導き出します。そしてその結論っていうのが毎回本質を突いていて、読んでいる僕らを唸らせるわけです。

そんなふうに、人類が太古の昔から現代まで築き上げてきた文化や文明の意義を、終末世界を生きる彼女らの視点から見ることで、あらためて考えさせられるんですよね。

 


3. 「螺旋」というモチーフ

個人的に特に面白いなぁ~と思ったのが、作中にたびたび出てくる「螺旋」というモチーフ。これが上手いこと作品全体のテーマを体現しているんです。


アニメのOPとEDでも、螺旋階段や、螺旋を平面化した渦巻状の雲が描かれていますが、これらの螺旋が何を表しているかというと、チトとユーリの人生(旅)そのものなんですよ。

原作第3巻の21話で、ユーリが螺旋階段を登りながら「生きるとは螺旋のことだったんだよ」と言うシーンがあります。

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螺旋っていうのは、同じ形がずっと繰り返される構造で、「変わり映えのない同じような日々が繰り返される自分たちの旅は、まさに今登っている螺旋階段のようだ」、ということです。


でも、ここで付け加えておきたいのが、螺旋というのは、たどっていくと決して同じ位置には戻らないということです。

螺旋階段も、同じところを歩いているようでいて、実際には少しずつ登ったり、または降りたりしています。そして、螺旋は理論上は無限に続きますが、彼女たちが登る螺旋階段には終わりがあります。


チトとユーリの旅も、同じような毎日が続いていくんですけれども、まったく同じ日というのは1日もありません。そして、旅はどんなかたちであれいつか終わるのであって、二人はその旅の終わりに向かって着実に進んでいる。


それを踏まえると、アニメのED主題歌冒頭の「終わるまでは終わらないよ」というセリフは、二人の旅や地球そのものがやがて終わりを迎えるという事実に対する、彼女らの力強い意思表示に思えてきます。




なお、「同じところを回っているように見えて、全体は動いている」という性質は、彼女たちが乗っているケッテンクラートの車輪も同じですね。
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車輪って、それ単体で見たら、車体にくっついて同じところをクルクル回っているだけに見えるんですけど、それによって乗り物全体は移動しています。


歯車もそうです。廃墟となった施設の中で、大きな歯車が回っている場面がいくつかあります。
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歯車は機械の中で定位置に固定されているけれども、その歯車が回ることによって、機械全体が動くわけです。

 



◼️まとめ

「少女終末旅行」の魅力

1.  終末世界のもの寂しい雰囲気と、日常系アニメのようなほのぼの感が共存している、独特の世界観

2. 1200年後の終末世界から、現代文明の意義について改めて考える視点を提供してくれる

3. 作中で度々描かれている「螺旋」というモチーフが、同じような毎日が続きながらも、着実に終わりに近づいている二人の旅の象徴として、上手く機能している




ぜひアニメと原作の両方を見てほしいです。アニメはOPとEDが曲・映像ともに素晴らしいですよ。