『宇宙よりも遠い場所』(以下「よりもい」)の第9話を観ました。

このアニメについては、第1話を観た際にも感想を書いているので、未読の方はどうぞ↓





第9話では、4人がついに南極にたどり着いたんですが、南極に降り立った報瀬の第一声が「ざまあみろ」だったのが最高に良かったです。


それまで報瀬は、学校ではずっと「南極なんて行けるわけない」「どうせ無理」などと周りからバカにされていたんですよね。第1話では、そんな周りの声に対して…

「無理だって言った全員に『ざまあみろ』って言ってやる」

とキマリに話していて、今回その宣言通り「ざまあみろ!」と高らかに叫んでみせたわけです。

fullsizeoutput_5df



◼️妬みとシャーデンフロイデ

報瀬の「ざまあみろ」はじつに清々しい感じでしたが、この言葉って、実際には汚いというか、どちらかというとあまり良くないイメージがあります。

というのも「ざまあみろ」というのは、もっぱらシャーデンフロイデの快感に浸っている場合によく使われる言葉だからでしょうね。



・シャーデンフロイデ

シャーデンフロイデとは、ドイツ語で「他人の不幸は蜜の味」という意味の言葉で、他人の不幸を見聞きしたときに生じる喜びの感情です。

嫌いな奴が失敗したのを見て「ざまあみろ!」と内心喜んだ経験のある人は多いんじゃないかと思いますが、そのときの快感をシャーデンフロイデといいます。



・妬み

シャーデンフロイデは、もっぱら妬みの感情から生まれます。妬みとは、相手が自分より上位にいる(評価されている、成功している)場合に、その相手と自分との差を解消したいという心理。

これが「自分が頑張って相手に追いつこう」というプラスの気持ちに働くこともあれば、逆に相手に対して「自分と同じか、それより低い地位にまで落ちてほしい」と願うマイナスの方向へいく可能性もあります。

この後者のパターンの妬みを持った状態で、その妬みの相手に不幸があったりすると、シャーデンフロイデが起こって強い快感を得られるわけです。



そしてこの妬みというのは、自分に近い人や、自分と同格の人、または自分より下位(だと思いたい)の人に対して抱きやすいものだったりします。

例えば陸上部に所属する日本の男子高校生は、ウサイン・ボルトに100m走で勝てなくても、そんなに妬んだりしないと思うんですよね。

でも、自分と同じくらいのレベルの同級生や、入ってきたばかりの後輩に実力で追い越されたら?…と考えると、分かりやすいでしょう。


日本人同士、学校のクラスメイトや会社の同期or後輩・部下、同年代または年下…。同じコミュニティに属していて、その中で自分と同格か、それ以下だと思いたい人との差が生じた場合に、相手を妬んでしまう可能性が大きくなるんです。




◼️高みからの「ざまあみろ」

さて「よりもい」において妬みの感情を持っていたのは、南極へ行こうとする報瀬たちを、陰でdisっていた周りの連中です。

それまでは自分と同じように、取るに足らない平凡な生活を送っていた同級生が、気づけば「女子高生にして南極へ行く」という偉業を成し遂げようとしている。

そんな報瀬たちと、相変わらず平凡なままの自分を比べて、彼女たちに対して妬みの感情を抱くようになった。第5話では、それがキマリとめぐみの関係に集約されていました。

報瀬のことを「南極」と呼んでバカにしていた周りの生徒たちも、おもしろくなかったでしょうね。

もし何らかの理由で4人が南極行きを断念していたら、心の中で「ざまあみろ」と言って喜び、シャーデンフロイデの快楽に浸っていた奴はいたはずです。



それに対して報瀬たちは、自分たちがはるか高みへいく(=南極に行くという偉業を成し遂げる)ことで、自分たちに向けられていた妬みを、どうでもいいちっぽけなものにしてしまいました。

そして、そんなどうでもいい感情を自分たちに向けて陰口叩いていた奴らに対して、逆に「ざまあみろ!」と言ってやったわけです。観ているこっちも気分が良かったですね。




◼️さいごに

活躍している人・成功している人に対して妬みの感情を抱いていて、その人が何か失敗したら「ここぞ」とばかりに全力で叩き、謝罪や活動休止に追い込んで「ざまあみろ」と言ってスッキリする…


ここ最近よく見る光景ですけど、そうやってシャーデンフロイデの快楽に耽る醜い態度に対しては、自分がはるか高みに到達し、その頂上から見下ろしながら「ざまあみろ」と叫んでやる。

そんな最高にクールな姿勢を示してきたのが、この『宇宙よりも遠い場所』なのです。今期アニメのなかでもめちゃくちゃ気に入ってるので、このまま最後まで楽しみたいと思います。




シャーデンフロイデについて書かれた本↓

かなり分かりやすく書かれていて読みやすいので、オススメですよ。