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笑いあり、感動あり…。『オナニーマスター黒沢』は一度は読むべき傑作漫画だ

こんにちは、イッキです。

誰かに「何かおすすめの漫画ない?」と聞かれることがあるんですが、とっさに聞かれると即答できないんですよね。

その後1人になって「あ〜、あの作品を紹介しておけばよかった」などと、後から思いついて悔しい思いをするのがデフォです。

そんなわけで今は、次に誰かからおすすめの漫画を聞かれた場合に備えて、頭の中で数作品をピックアップしているのです。

今回は、そのうちの1つである『オナニーマスター黒沢』を紹介したいと思います。

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> オナニーマスター黒沢 <
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はい。ほとんどの人がタイトルを聞いた時点でドン引きするであろうことが、容易に想像できます。

どう考えても、最低な下ネタを連発するギャグ漫画にしか思えませんからね。

しかし、内容はこのタイトルからは想像できないくらい良い話で、読み始めると一気に引き込まれる、すごく面白い漫画なんです。

Web上で伝説的人気を誇る

まずは基本情報を軽く説明しますね。

原作は、2006年3月から9月にかけて連載された伊瀬カツラ氏によるアマチュアWeb小説。

これがすごい好評で、その後2007年9月から2008年3月にかけて、横田卓馬氏(YOKO名義にて)によってコミカライズされました。

横田卓馬さんといえば、のちに週刊少年ジャンプで『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』などを連載することになる漫画家さんです。僕はこの作品も好きでしたねぇ。

そして、このコミカライズ版も大好評となり、「知る人ぞ知る名作」となります。

『オナニーマスター黒沢』は、しばらく単行本としては出版されておらず、ずっとWEB限定で公開されていたんですけど…

2009年9月に小説版が『キャッチャー・イン・ザ・トイレット!』とタイトルを変えて出版されました。

その後、漫画版のほうはタイトルはそのままに、2018年に全4巻の電子書籍として配信されました。僕はもちろん、どちらも全巻即買いです。

あらすじ

日課は女子トイレでのオナニー

主人公・黒沢翔は、学校の女子トイレに侵入してオナニーすることが日課だという、変態的性癖を持つ男子中学生です。

…あっ、ここで読むのをやめないでくださいね。そっ閉じしたくなる気持ちは分かりますけれども。あとで絶対面白くなるから。

ある日、日課を終えて女子トイレから出てくるところを、1人の女子生徒・北原綾に見られてしまいます。

ここで通報されて退学となると、物語が終わってしまうところですが、彼は前もって用意していた言い訳で、なんとかやり過ごします。

クラスでのいじめに対し…

春休みが終わり、中学三年生に進級した黒沢は、その北原綾と同じクラスになり、彼女がクラスメイトの須川麻衣子と原田あゆみから、いじめを受けていることを知ります。

最初は「そんなことよりオナニーだ」といった感じで、北原へのいじめよりも、日課のためのおかず探しに関心が向いていた黒沢でしたが…

いじめは日々エスカレート。直接の加害者だけでなく、それまで傍観していた周りのクラスメイトたちも、加害者に同調して煽り出すんですね。

これには、さすがの黒沢も胸くそ悪さを覚えます。

そこで彼は、いじめの加害者である須川と原田に対し、罰を下すことにします。その罰というのは…

彼女たちの体操服に精液をかけること。見た目はけっこうイケメンなのに、とんでもない変態野郎ですよね。

これにより、加害者2人に精神的ダメージを与えることに成功します。

一方、当の犯人はこの顔である。

『デスノート』の夜神月ですね。この漫画には、他にもいろんな作品のパロディがちょいちょい使われているので、わかる人には面白いですよ。

北原と奇妙な関係に

達成感に酔いしれる黒沢ですが、いじめ被害者の北原には、自分がこの事件の犯人であることと、女子トイレでのオナニーを日課としていることがバレてしまいます。

僕が黒沢の立場だったら、この世の終わりかと思いますね。これで彼の人生は終了かと思いきや…

北原はまだ他にも恨んでいる相手がいて、そいつらを須川や原田と同じ目に遭わせてほしい、と黒沢に依頼します。

そうすれば、日課と事件のことはバラさないでいてあげる、という取引です。

これ以降、北原から同じような復讐をたびたび依頼されるようになり、黒沢もまた同様の手口で罰を下していく、という二人の奇妙な関係が続いていくわけです。

オナニーからセックスへ

この作品で描かれているのは、「オナニー的人生からの脱却」「人間関係の再構築」。一言でまとめると「オナニーからセックスへ」です。

何を言っているかわからないと思うので、ちゃんと説明しますね。

セックスが他人と親密な関係を築いた先にある行為なのに対し、オナニーは他人との関係を伴わないまま、自分の性的欲求を満たすためだけに行う、自己完結的な行為です。

物語の中盤、黒沢には好きな人ができるんですが、この恋の結末は彼にとって耐え難いもので、到底受け入れることのできないものでした。

しかし、これまで他人と関わることを避け続けておきながら、惚れた相手にだけは自分のことを好きになってもらいたい、という都合の良すぎる希望を抱いていた黒沢。

そんな自分のあり方は、まさに自己完結的で独りよがりなオナニーそのものだ。

間違いを繰り返した末に、ようやくそのことに気づいた黒沢は、それまでの人との関わり方を本気で変えようと決意します。

自分の頭の中だけの、性欲解消のためだけの関係に閉じこもるのではなく、リアルでちゃんと他人と向き合い、たしかな関係を築いていく。

これが「オナニーからセックスへ」ということです。

人と関わることを避け続けてきた主人公が、人間関係の構築に失敗し、苦悩しながら、そこから真剣に人と向き合おうと再起する姿を、この漫画はかなり真面目に描いているんです。

 

さいごに

生粋の下ネタギャグ漫画かと思わせておいて、実態は切ない青春時代の恋愛と、人間関係の再構築を描いた傑作です。

主人公の恋愛については、とにかく心情描写がすごく上手いんですよ。

黒沢の恋の行方と、彼の打ちひしがれる気持ちの描写が切な過ぎて、何度読んでもめちゃくちゃ心に響きます。

そんなわけで、騙されたと思ってぜひ読んでほしいです。